Boeing747 Section41 Part2.

さて、昨日から掲載している航空科学博物館のBoeing747 Section41。
今日は機内に入ってみます。
機内へは飛行機のドアを通って入るのではなく、Section41の断面部分に設けられたドアから入ります。
いつまでも綺麗な状態で保存するために、入る前に用意されたスリッパに履き替えます。
で、中に入るとすぐ目の前に初期のジャンボの特徴でもある2階席へのらせん階段があります。
そしてその先、客室部分は右側半分がいつも私たちが飛行機に乗った時に目にする光景がありました。
そこにはビジネスクラスのシートが配置されていました。
そして、左側半分はシートは取り払われ、内壁も剥がされた状態で壁の内側を見ることができました。
Boeing747の胴体はセミモノコック構造となっています。
セミモノコック構造では外板とフレーム、ストリンガー(縦通材)で構成されていて、写真ではその構造が良く分かります。
15-25cm程の間隔で横方向(機体の前後方向)にストリンガ-が、50-55cmほど間隔で縦方向(機体の円周方向)にフレームが格子状になって外板を内側から支えています。
約1万メートルもの上空を飛ぶジャンボの機内は地上の約80%ほどの気圧に与圧されています。
約1万メートルの気圧は地上の約30%ほどの気圧ですから、その差50%分の力が機内からこの胴体に働きます。
それってどれくらいの力か? 1平方ミリメートル当たり10kgから12kgほどになります。
1平方メートルだと・・・だいたい10t位の力がこの胴体内側にかかることになります。
この密度でフレームとストリンガーが外板を支えている理由が分かりますよね。
B747 機内 1
外板の内側(客室側)にはさらにこのように断熱材が貼られています。
1万メートルの上空は超極寒の世界。
エンジンから取り入れた空気・熱で機内は快適に保たれていますが、たった1枚の壁とこの断熱材で隔たれた外部は人が生きていけない世界なんですよね。
B747 機内 2
窓の上部にはその機内を快適に保つ空気を循環させるエアコンのダクトが設置されています。
B747 機内 3
ジャンボの窓は二重構造になっています。(厳密にいうと3重構造)
1番外側の窓はそれだけで機内の圧力に耐えられるようになっています。
2番目の窓には窓の下側に小さな穴が開いていて外側の窓と内側の窓の間の空間の空気が膨張した時の圧力を逃がすようになっています。
3番目の窓は普段我々が触れることができますが、これは1番目・2番目の機体構造の1部を構成している窓を保護するための窓で、薄いプラスチックでできています。
また、写真にある通り、飛行機の客席の内壁の中にはこのように電線が束ねられて通っている箇所があります。
機体全体に神経が張り巡らされている感じでしょうか。
B747 機内 4
飛行機の座席に座ってその上を仰ぎ見ると、読書灯やフレッシュエアの吹き出し口があります。
そしてもう一つ重要なのが非常用の酸素マスクです。
機内の圧力が下がるとパカッと天井の一部が開き、そこから黄色の酸素マスクが降りてきます。
その内側を覗いてみました。
写真の右側から”酸素マスク”・”フレッシュエア吹き出し口”・”読書灯”となっていて、3つづつ配置されています。
B747 機内 5
1階客室の最前部の天井です。
この天井の上にはコックピットがあります。
コックピットから様々なワイヤーが伸びているのが分かりますよね。
Airbus A320以降の飛行機、Boeingでは777以降の飛行機にはフライ・バイ・ワイヤーという方式が採用され、パイロットの操作は電気信号に変換されて電線(ワイヤー)を通って補助翼や方向舵・昇降舵を動かしていますが、このジャンボはパイロットが操縦桿やラダーペダルを操作した力は、ケーブルやロッドによる機械的リンクを通して方向舵・昇降舵・補助翼を動作させる油圧アクチュエータに伝えられていました。
B747 機内 6
飛行機のドアの内張りをはがしてみるとこのようになっています。
ちなみに、普段飛行機に乗ったときに見るドアの内側下部には大きなふくらみがありますが、あそこにはスライドラフトが格納されています。
緊急時に機内から脱出するための滑り台になり、海上では救命ボートにもなるものです。
今回はそれは取り除かれ、構造材としてのドアが見えました。
B747 機内 7
ドアを開閉する大きな銀色のハンドル。
そしてその上には黄色のセレクターレバーがあります。
飛行機に乗った時、ドアが閉められた後に「Doors for departure」とか「客室乗務員はセレクターレバーをAutomaticに」といったアナウンスが聞かれるかと思いますが、その時にCAさんはこの黄色のレバーを操作しています。
このレバーをAutomaticにすると、ドアを開けたときに前述のスライドラフトが自動的に膨らむようになります。
なので、離陸前にはAutomaticの状態にして、緊急時にはドアを開けた瞬間に非常脱出ができるようにする必要があるのです。
逆に、着陸後ドアを開ける前には必ず「手動」にしなければなりません。
実際、「手動」にし忘れてドアを開け、スライドラフトがいきなり膨らんで地上スタッフがけがをしたという事故も海外で数例あったようです。。。
B747 機内 8
正面からドアを見てみました。
昨日掲載した外側から見たドアの反対側ですね!
B747 機内 9
らせん階段を上って2階席へ移動。
コックピットに入ってすぐ右側に非常脱出口がありました。
ココは2階席、地上3階の高さがあります。
ココから降りるのは相当な勇気が必要ですよね。。。。
ということで、このドアから伸びる滑り台は円筒形になっているそうです。
(外が見えないように)
B747 機内 10
そして最後は昨日掲載したコックピットの天井部分にある小さな四角の非常脱出口を内側から見たものです。
ジャンボのおでこの部分のこのハッチを開けて、いったいどうやって地上に降りるのか?!
写真右側に黄色のレバーのようなものが5つありますが、それはワイヤーの取っ手なんです。
この黄色の取っ手を握ってこのハッチから飛び降りると、ワイヤーがするするっと伸びて人が地上に着く寸前に伸びきって止まるという仕掛けになっています。
B747 機内 11
というわけで文章が多くなってしまいましたが、ジャンボの機内の普段目にすることのない部分を掲載しました。
明日はいよいよコックピット編です!!